とらわれない、こだわらない、空の心の自由さと豊かさ
形あるものは
すべてこわれてゆく
花のように
人のように
楼閣のように
されど形なきものは
虚空のように
大空のように
いつまでも
こわれることを
知らない
形ある
すべてを棄てた心
変わりゆく
すべてを離れた心
それが
空の心である
砦の大空のように
空の心は限りなく
涯もなく
増えることもなく
減ることもない
こわれゆくこの世のすべてを離れるが故に
生きることにも迷わず
つまづくことにも惑わず
唯すべての畏れを離れる
若葉にしたたる
日の滴が
すべてを包み
すべてを
はぐくむように
空の心は
何物をも許し
何物をも育ててゆく
それは限りなき楽しみであり
無我の明さである
朗らかなる空の心よ
暖かく
滴る空の光よ
小笠原秀実・登 尾張本草学の系譜 京都を舞台に尾張本草学の伝統を開花させ西欧至上主義に陥らぬ独立の学問を樹てた二人の生涯。